眺めるだけで何かを作りたくなる。「再生構築機界ケルバーダイン」は「自分だけのオリジナルを作る」がテーマの作品です。
はじめまして!
「再生構築機界ケルバーダイン公式サイト」管理人のプロモデラー林哲平と申します。
「プロモデラー」って、赤魔道士や暗黒騎士ぐらい聞き慣れない職業だとは思いますが、プラモデルの製作についてのプロフェッショナル……とりあえず「なんかプラモデル作るのがちょっと上手い人」ぐらいに思ってください。
ケルバーダインて何?
ここは道端に落ちているゴミや、身の回りの不要になったもの、100円ショップの日用品、ヤクルトボトルまで。
あらゆる素材を楽しくカッコ良く? 蘇らせたロボットたち、『ケルバーダイン』を制作、紹介していくサイトです。
私はこの記事を書いている2023年1月7日現在、41歳になりますが、恥ずかしながら「夏休みの自由工作」的なものが大好きでして。しかもロボットやSFメカがとにかく大好きなんですよね!
そんな工作好きロボットヲタの私が、今から12年前の2011年の夏、とあるきっかけでゴミからロボットを作ったのですが…… なんとッ! 奥さんが予想外に好評価してくれたんです。
「カッコいい! 捨てたり、押入れの中に押し込んでおくのは勿体無いからブログとかで発表したら?」と。
そんなわけでブログを始め、それがツイッターに繋がり、現在では自分の名前で本を出していただけるような、大変ありがたい幸運に恵まれ、模型製作に励む毎日を送っております。
12年前に始めたケルバーダインは、数年で10機製作したまでは良かったのですが。
その後は子供も生まれ、仕事も忙しくなり、趣味で3インチミニカー収集やミニチュアモデル、カーモデルの製作などにハマったこともあり、次第に遠ざかっていきました。
自分だけのオリジナルを作りたい!
ただ……ただ、ケルバーダインについてはいつも心の片隅に、ずっと引っかかっておりました。
ケルバーダインがなぜ、長期間作らなくなっても、自分の心の中にずっと残っていたか……?
それは、やはり「自分が完全に0から考えて作った、オリジナルのモノ」であるからです。
私は普段、仕事でいろんなプラモデルを作りますが、それは誰かがデザインし、アニメーションや映像で活躍し、キャラクターとして文脈が肉付けされ、プラモデルメーカーが高度な生産技術を用いて生産したキットを組み立てているだけです。
もちろん、作ったものを評価していただけることも多いのですが、それは私が凄いのではなく、そのプラモデルが送り出されるまでに関わった、全ての人が凄いのです。
仮にキットが無いからフルスクラッチしたとしても、そのキャラクターの持つ価値を生み出したのは自分ではありません。
私が製作により加えた価値など、どんなに頑張っても、せいぜい10%ぐらいあるだけでも大きい比率なのでは? と常日頃から思っております。
思えば、私がケルバーダインを作るのを辞めたのは、場所を取るからでも、接着剤代がかかるからでも、仕事が忙しくなったからでも、他の趣味が楽しくなったからでもなく。
ずばり、「恥ずかしくなってきたから」でした。
自分オリジナルのモノや設定を作って、誰かに語る……これは、すごく勇気の必要な行為です。
たぶん、実家の机の上から4段目の引き出しの奥にある、高校生のときノートに書き溜めた、オレ設定でビッシリ埋め尽くされた黒歴史ノートが発掘されてツイッターとかにUPされたら一瞬で灰になりロストする自信があります。
でも、オリジナルをやっている作家さんて
「え、この設定ありがちすぎるでしょ」「バカじゃないの(笑)」「よくこんな恥ずかしいこと書けるな」「痛っ!これは痛すぎる!」「なんでこうしないの?オレだったら100倍面白く出来るよ」「才能無いでしょ」
みたいな逆風にさらされまくりながらも、それでも、それでも「自分が作りたいもの」を送り出している。
「いつか作ろう」の「いつか」は来ない
私はプラモデルを作りたいけど、なかなかきっかけが無かったり、悩んでいる部分があるので迷っている人にはよく「今すぐ作りましょう!」みたいに言うことが多いです。
どうしても、「いつかやろう」「うまくなったら作ろう」みたいに思っていると、その機会は永久に来ないことがほとんどだからです。
私は一応プロモデラーで、普通の人よりはプラモデルは上手いですが、それでも昔「上手くなったら作ろう」と思って買ったプラモがまだいっぱいあります。
でも、「上手くなったら作ろう」の気持ちって「これ作って、下手だとか言われたら嫌だな〜」みたいな、誰かの評価を気にして動けない部分が多いんですよね。
「このキットはこことこことここが実物と違っていて、本当はこうだからここを改造してフルディテールアップして作らなきゃ。実際、ネットで大改造してる神作品があるからこれぐらいしないと!」みたいな気持ち。
でも、意外とそのキットをドストレートの無改造で作っている人もいて。
その作品が改造していないから悪いわけではなく、キットの持ち味が出ていてめっちゃ魅力的だし、なによりも作っている人が心の底から楽しんでいる感じが伝わってくるんですよね。
ディテールアップとか、考証とか、超絶塗装とか、出来ないことではない、自分が出来ることをやっている。
昔、ケルバーダインを作ったときの最後のほうは仕事でいろいろあって、自分の自信を大きく失っている頃でした。
自分は絵がかけないし、メカデザイナーでもないし、ストーリーを考える作家でもないし、カメラマンでも無いし、こんなゴミを組み合わせてロボを作るとか言っても、ただ新しいゴミを作っているだけなんじゃないだろうか?
なんかもう、気持ちが全部「自分にはなにもない、できない」自分に無いもの、できないことばかりを数えるみたいになっていたんですよね。
創作の炎をたぎらせろ!
今回、とあるきっかけがあり、ケルバーダインを再開することにしました。
私は相変わらず絵はかけないし、メカデザイナーでも無いし、ストーリーを考える作家でも無いし、カメラマンでもありません。
でも、とりあえずどんなモノでも組み替えてロボットやSFメカを作り上げる能力はありますし、もしかしたらやっているうちに絵とか上手くなったり、メカデザインが出来るようになったり、超面白いストーリーを書けるようになったり、写真もめっちゃ上手くなっていくかもしれません♪
何者にも、誰も横槍を入れられたり、改変されることもない。
振り上げた両腕を、なんのためらいもなく全力で振り下ろせるような、自分だけのオリジナルを自分の手で作り上げる。
そんな人間が誰しも持っている創作の炎を、ケルバーダインを見て熱くたぎらせていただけたら、私は嬉しいです。
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