再生構築機界の生物をクローズアップする「BLOOD CLASH!! 真・再生構築機界動物誌」
今回は「ギチ」について。
再生構築歴に入ってから、都市育ちのケルバーの中には「本物のギチを一度も見たことが無い」という若者も多い。
だが、依然としてギチは我々の大敵であり、改めてその生態や対処法についての正確な知識について学ばなければならない。
※「ギチ」に強い生理的嫌悪を抱くケルバーさんが多いため、メインカットには視覚情報処理を施しております。これ以降の記事では情報の正確性を優先するため、本物のギチの写真を使用しております。どうしても無理なら読まない、もしくは視覚情報処理スキンをインストールしてからお進みください。
2億5000万年の驚異「ギチ」
ギチは雑食性の大型昆虫であり、ケルバーを好んで食する習性を持つ、我々の敵である。
2億5000年前からほとんど姿が変わっておらず、誕生して200年足らずしか経っていない我々ケルバーより100万倍長い歴史を持っている。
元々は熱帯〜温帯地方の森林にを生息地としていたが、旧人類の都市部に適応し、害虫として世界中に定着した。
何処にでも潜り込める平べったい体、なんでも食べる強靭な食性、「1匹見かけたら40匹いる」と言われている旺盛な繁殖力は驚異である。
だが、ミキシングワールドに現生するギチはかつて旧人類が「ゴキブリ」「アブラムシ」「コックローチ」と呼んだ当時のままではなく、はるかに凶悪に、強靭な生物である。
かつて、旧人類が食糧難に陥ったとき、タンパク質の補給源として注目されたのが昆虫食であり、繁殖力の強いゴキブリは最優先候補に挙げられた
ゴキブリは唯一、寒冷地では活動できないという弱点を持っていた。
これは旧人類の居住地から発掘されるギチ駆除用品に「凍結スプレー」が見られることからも確認されている。
だが。愚かにも、目先の食糧問題解決のため、旧人類は遺伝子操作により「寒さに強く、より何でも食べ、より繁殖する」という特性をギチに与えてしまったのだ。
ギチは箱庭計画発動時のAD2200年前後にはすでに野外へと逃げ出し、既存のゴキブリ自然種を駆逐しながら増殖していたことが研究により判明している。
箱庭計画が崩壊した2301年の「ターンオーバーデイ」で外部から箱庭都市になだれ込み、ケルバーを襲って食い散らかし、多くの犠牲者を出した。
現在では大都市部では徹底的な駆除が行われているため表向き姿は見られないが、駆除を中断するとすぐに増えるため、決して油断はできない。
地方や再生区域外ではごく普通に生息しているため、「見たことが無い」者はたまたま幸運であるだけなのだ。
なぜなに?ギチQ&A
Qなんで「ギチ」という名前なのですか?
A→なにかを食べるとき、「ギチギチギチッ!」という不快な音を発するためです。これが名称として定着した歴史があります
Q ギチは飛ぶ、と聞いたのですが本当でしょうか?
A→本当です。大変おぞましい羽音をたてながら、高速で飛行します。
Q友人のヴィス族が「俺のケルバーダインはギチより早い」と自慢していました。信じられません
A→一概に嘘とは言えません。ご存知の通り、ヴィス族は大口を叩き、速さを至上の価値としています。「〇〇より早い」というのは彼らの中では慣用句です。「ガットより早い」と言わないだけ、貴方の友人は謙虚である可能性が高いです
Q旧人類はギチを食べていたのですか?
A→食べていませんでした。あんなの、気持ち悪くて食べられるわけありません。そんな当たり前のことすら判断できなかったので、旧人類は地球から姿を消したのです
Qギチを飼ってみたいです!
ミキシングワールドにおいて、基本的に一般ケルバーによるギチの飼育は禁止されています。これはリザレクト、エグゼクト双方において共通です。飼育はギチの最終的な絶滅を目標とする、特別な免許を取得したケルバーが研究目的で行うときのみ認められています
Q ギチがケルバーを襲うのは、箱庭計画発動初期、ケルバーの素材である有機ナノマシンをギチから生成したタンパク質で製造していたからだと200歳ぐらいのケルバーから聞きました
有名な箱庭都市伝説「ケルバーギチ由来説」ですね。これはもちろん、間違いです。200歳ともなると、リフレッシュを繰り返しても記憶が混濁してくるものです。ところで、次回の特集でぜひお話を伺いたいので、そのケルバーについて住所や連絡先を教えていただけないでしょうか?
君にもできる!ギチ対処法初心者講座
ここからは辺境区域への物資輸送などで実際にギチと遭遇することの多い、バーリンド族のブロダグツ氏にギチの対処法を指南していただく。
○前提として、ギチはケルバーダインにインして対処すること。生身で遭遇した場合は速やかに逃げること。
○ギチはケルバーダインには危害を加えることはできない。いくらギチでも、ポリブロビレンやABSを食べることはできないからだ。体にギチがまとわりついても、決して慌てないこと。精神的な恐怖感はミキシンクロレートを急上昇させるため、注意が必要だ。
○ギチへの対処法は焼く、凍らせる、など様々な方法があるが、最も確実なのはギチの習性を利用する方法だ。まず、ギチを一体踏み潰す。動きが素早いが、まとわりついてきた個体を一体処分するのはそう難しくはない
○踏み潰したギチを群れの中に投げつける。ギチは共食いをする習性があり、弱った個体はすぐ他のギチに食われるからだ。
○ギチが共食いをしている間に速やかにその場から離れる。地域によっては、ギチは40匹どころか、数百匹単位で現れることも珍しくない。専用のギチ駆除型ケルバーダイン以外では対処が難しく、物量負けするため偶発的な遭遇の場合、逃げることを最優先する。
ギチとの戦いは続く
旧人類時代の文献には「我々人類が滅亡してもゴキブリは繁栄し続けるだろう」と記述が散見され、事実その通りになった。
ギチの根絶は、我々ケルバーが旧人類から引き継いだ課題であるのかもしれない。
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