ケルバーダイン プロージェL純血騎士団仕様 バトルストーリー第20話『純血の騎士(MC0033年)』

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プロージェL純血騎士団仕様 バトルストーリー 『純血の騎士(MC0033年)』

「センチネル……」

ギガンテスへと、感謝の祈りを捧げる
感謝。感謝。そう、感謝である。
ギガセンチネル教への感謝
人類適合率95%の体に生んでくれた母への感謝
そして―――80年の時を得て、蘇った伝説のケルバーダイン、プロージェの騎乗者に選ばれた感謝だ

「美しい…… 人の意思が形になったようであるな」

白銀に包まれたメタリックカラー
全身にはNATシールが張り込まれ、旧人類の王侯貴族がかつて戦いに用いたという、全身鎧のようなRIC

「いいですか。くれぐれもミキシンクロレートの上昇には気をつけてください。ブイヨン卿、貴殿は…」

プロージェを整備する再生構築士が心配そうに声をかけてくる

「わかっている。吾輩はピュアマテリアル。人類を再生させる責務がある」

ピュアマテリアルは生まれながらに人類の特徴を90%以上保持している者だ
その出生率は1%にも満たない。そして、年々その確率は減少を続けている
旧人類の肉体を動かすには、人類への親和性……高い人類適合率が必要であると判明している。
来たるべき救いの日…… エグゼクトを滅ぼし、肉体へと戻り、アルミリフへと旅立つその日まで、我々は生きなければならない

吾輩たち、ピュアマテリアルがなぜ、危険な戦いに赴くのか?
それは、我々は強いミキシンクロレート耐性を持っているためだ
ケルバーダインは人体へと近づけば近づくほど、その性能が上がる
だが、人体へと近づきすぎると、機体と融合し、暴走するリミットが短くなってしまう
ピュアマテリアルであれば、人形に近い形状をしたプロージェのようなケルバーダインであっても、長時間の騎乗が可能であり、その真価を発揮できるのだ

もっとも、エグゼクトの悪魔どもはおぞましい方法でミキシンクロレートの問題を解決しているようだが……

我々のピュアマテリアルの騎乗データは収集され、さらなるミキシンクロレートの研究に利用される

「ミキシンクロレートこそ、ケルバーが人体へと帰還するためのカギである」

リザレクトにおけるケルバーダイン開発の総責任者であり、プロージェを80年ぶりに再生させた再生構築士、トグ二ランドはそう語っていた

だが、私が戦いに赴くのは…… 高貴なるものの責務であるからだ
「ノブレス・オブリージュ」
旧人類の貴族は、その生まれながらの責務により戦ったという

「今回はあくまで運用データの収集です。危険はありません」

王都リザレクティアの南、トゥリーク森林地帯

「プロージェは機動力に優れたケルバーダインです。あの木の枝に跳躍してください」

観測用ズーブンに騎乗した再生構築士が指示を出す

60センチもの高さにある枝だ
普通のケルバーダインであれば、不可能だろう
だが、プロージェは違う
騎乗してから体が軽い
地面を踏みしめ、全力で飛び上がる
やすやすと、木の枝に着地する
これほど跳躍力が高いと、逆に高空の電波帯に突入する危険を考慮せねばならないだろう

そして、不自然な振動を感じた
枝がプロージェの重さではない、なにかで動いている
この振動音……大量のケルバーダインが移動する音だ!

「エグゼクト軍だと!」

木の枝から見下ろすと、視界の先にエグゼクト軍の主力ケルバーダイン、バテスの機影が見えた
その数4機、北部へと進んでいる
奴らの親玉は数年前、人類の至宝たる肉体をこの世から消滅させるとわがリザレクトに宣戦布告し、各地で攻撃を繰り返している

この動き、王都リザレクティアへと直接侵攻を企ててているのか?

悪魔どもめ、許せん!

「エグゼクト軍を発見した。これより殲滅する」

「なんですって? やめてください!緊急事態です!今すぐ帰還してください!」

「お前は今すぐこの事態を王都につたえるのだ。この侵攻はただ事ではない!」

技士が騎乗しているズーブンを尻目に、木の枝から飛び降り、エグゼクトの部隊へと襲いかかる

空中から、真下へと
落下する勢いのまま、赤熱したHNGランスでバテスの頭頂部から股間まで一気に貫く

グチュッ、とプラスチックが溶ける音、そして嫌な匂い

騎乗者は自分が死んだことすら気ずいていないであろう

「何だ!」

「どうした!」

「ケルバーダインだと!」

あわてふためくエグゼクトの悪魔どもに、力なく脱力したバテスを投げつけ、奴らが体制を立て直す前に襲いかかる

なんと遅い。そして、なんと弱いことか

「センチネエエエエエエル!!!」

聖句が自然と雄叫びとなる
あわてふためくバテスを二機、まとめてHNGランスで横薙ぎに真っ二つに溶断する
ケルバーダインは熱に弱い
LBDボトル製の装甲などプロージェの前では紙に等しいのだ

「そんな、これはプロージェ? 実戦につかえるのガッ」

左腕のクローでバテスを掴み、ギリギリと力を込める

エグゼクト兵どもも、わが乗機をプロージェと認識したようだ

「プロージェ事件」を初等教育で教えるのはエグゼクトも同様なのだな

バテスはパキッ、パキッとプラスチックが割れる音を立て、圧力に耐えかねてバラバラに砕け散った

この瞬刻で、4機のバテスはゴミに還った

これだけ騒いだのだ
仲間の死体に群がるギチのごとく、、わらわらとケルバーダインが湧いてくる

バテス、ドルトガ、オーヴォル、クバルガ…… ここはエグゼクト製ケルバーダインの展示場か?

だが、相手にとって不足はない
悪魔ども、来るがよい!
この純血の騎士が、お前たちをポイポイへと叩き落としてやろうぞ!!

プロージェL 純血騎士団仕様 機体解説

プロージェLはリザレクト軍が仕様するケルバーダインである

プロージェはAD2362年に開発されたケルバーダインだが、高性能の反面、その人体に近すぎる形状によりミキシンクロレートが高く、融合事故が多発して歴史から姿を消した機体であった

だが、リザレクトでは肉体への帰還のため、ケルバーと人体を親和させるための研究が進み、ミキシンクロレートの上昇を防ぐリミッターや、融合前にパイロットを強制排除させるためのエジェクターの技術が発展した

これらの技術を取り入れ、リザレクトが再び人体型のケルバーダインとして開発したのがプロージェLである

一般には「プロージェ」と呼ばれているが、原型機と区別するときは「L」を付けて呼称される

原型機であるプロージェが備えていた長い手足は継承され、高い機動性と格闘能力を持つ

このプロージェLはリザレクトの国教であるギガセンチネル教により選ばれた、生まれながらに人間の要素を95%以上備えている特権階級「ピュアマテリアル」のみで構成された「純血騎士団」用に作られた特別機である

RICは初代プロージェのメタリックカラーに加え、特殊シールによりエングレービングが施され、ピュアマテリアルを守るために、極めて強固な防御力を誇っている

右手には熱により敵ケルバーダインを溶断するHNGランスを装備している
旧人類の熱加工用工具であり、本来はケルバーダイン再生構築に用いられるもの
極めて強力であるが、希少かつ高価な遺産であり、単体のケルバーダイン用としては破格の装備である

左手のLNGクローは大型の格闘装備で、防御力の低いケルバーダインであれば、握りつぶしてしまうことも可能だ

プロージェLは性能試験中に第一次リザレクティア総攻撃のため密かに進軍していたエグゼクト軍と遭遇

単騎で数十機のケルバーダインを葬り去り、エグゼクト軍の出鼻を挫いた
騎乗者であるヴラド・ブイヨンの戦いぶりは凄まじく、この戦功により純血騎士団の長に出世している

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