ケルバーダイン ブリアード(MC0029年製) バトルストーリー第18話 (MC0041年『オレが本当のウェザリングを教えてやる!!!』)

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プリアード バトルストーリー(MC0041年『オレが本当のウェザリングを教えてやる!!!』)

豪雨が降り注ぐ真夜中、我々3機のバテスはリザレクト勢力圏のハンドレッド、ダー・イソー139へと侵入した。

全長50mmのケルバーにとって、雨は驚異だ。たとえ一粒の雨水でも、直撃すれば弾丸に跳ね飛ばされたような衝撃となる。

たとえケルバーダインに騎乗していたとしても、雨足が強まれば水たまりに足を取られ、激流に流されてしまう。

ピクニックに出かけるには最低の天気だ。

だが、敵の目を欺く極秘潜入作戦の決行日としては申し分ない

3ヶ月前、我々の所属するエグゼクト第八軍に大総統ゼノヴァの極秘任務が通達された

「第三次リザレクティア総攻撃の直前にダー・イソー139へと搬送されたケルバー「Z」を確保し、ニューエグゼクトに搬送せよ」

第三次リザレクティア総攻撃後、エグゼクトとリザレクトの国境線であるレジン川流域に展開していた我々はミキシングワールドの南西に位置する辺境のハンドレッドまで、大急ぎで行軍してきたのだ

ダー・イソー139の通風孔を3機のバテスが進む。

内通者からの情報では、ここはリザレクトの防衛巡回ルートから外れており、ケルバーZが居住している区画の真上に通じている。

王都リザレクティアから移送された謎のケルバー「Z」

ガロン軍曹は存在が気になって仕方がないようだ。

「ケルバーZってなんなんだ?」

「口を慎め。敵に発見される。任務の遂行が最優先だ」

エルゼ曹長が窘めると、ガロン軍曹はチッ、と舌打ちをし、黙り込む

ガロン軍曹は完全戦争以前、このダー・イソー139のケルバーダイン工場で働いていた経歴がある

潜入作戦において、土地勘を持ったケルバーを、という理由で選出されたが、問題行動が目立つ

士官学校を卒業して間もない、自分の年令の半分にも満たないエルゼ曹長の指示に従うのが不満であるようだ

だが、私も気になって仕方がない。「Z」とはいったい何者なのか…… リザレクトの王族か、ギガセンチネル教の高位聖職者なのか?

「マルクス少佐。その曲がり角を曲がった80センチ先に居住区へと降りる開口部がありま……!」

ズガガガガン!!!

轟音と爆風がエルゼ曹長の言葉をかき消す

「敵だ!!!」

着弾による爆風で通風孔に降り積もった埃が舞い上がり、ボヤけた視界の中に敵影が見え隠れする

煙が薄まり視界が晴れていくと、一体のケルバーダインが現れた

右腕のドリルに左腕の5連ランチャー。西暦時代からのリザレクト主力ケルバーダインであるブリアードだ

ブリアードをひと目見て、ガロン軍曹がガハハハッと野卑た笑い声を上げる。

「なんだ、あの下手くそなRICのブリアードは! ウェザリングに失敗してるじゃねえか。俺がいたときより退化してるじゃねえか!まあ、こんなド田舎にまともな再生構築士がいるわけねえ!」

確かに、このブリアードのウェザリングは汚すぎる

やり過ぎだ

これではRICの効果が低下し、ケルバーダインの性能は低下してしまう。

だが、よくよく見ると、エッジに金属光沢が見える…… まるで本物の鋼鉄のような重量感。

本当に、コイツのウェザリングは下くそなだけのか?

「ゴミに戻れ! 」

与し易しと見たのだろう。ガロンが突撃しながらブリアードへと射撃を叩き込みはじめる…!

「勝手な攻撃はやめろ!他の敵に気づかれる!」

「こんな失敗作、すぐ片付けてやりますよ!」

ガロンは命令を聞かない

「オレが本当のウェザリングを教えてやる!!!」

無数に打ち込まれる砲弾。

しかしブリアードはバラバラになることはなく……全ての攻撃を弾き返した。

「バカな!」

「ガロン!違う!あれはヘアスプレーチッピングだ!」

聞いたことがある。ごくまれに発掘される、旧人類の整髪用にスプレーを使った、高度なRIC技法。

ヘアスプレーチッピングを施されたケルバーダインは、鋼鉄同様の硬さ得るという……!

ブリアードのドリルがゆっくりと回転を始める

どんどん早くなっていく動きに、まるで魅入られたかのように、ガロンは動かない 

「やべえ… なんてカッコいいんだ…」

まずい!KD認識阻害に陥っている!

教養の低いケルバーは情報への耐性が低い。敵ケルバーダインでも造形や彩色が優れていると「カッコいい」と魅入られてしまう。

「離れ…!」

ろ、と、言い終える直前に、ブリアードはガロンのバテスにドリルを叩き込んだ。

轟音と共に、バラバラに砕け散る

脱出する隙も無い。即死だったろう。

「ガロン軍曹……」

飛び散ったバテスの破片がぶつかるたびに響く、軽いプラスチックの衝突音にエルゼ曹長は呆然と突っ立っている

いくら士官学校をトップの成績で卒業しているとはいえ、仲間を目の前で失ったのは初めてなのだから

ブリアードがゆっくりとした動きでこちらを向くき、小さなゼノアイが、こちらを射抜く。

当然、我々を生きて帰すつもりは無いだろう。

「エルゼ曹長! ケルバーZはこの下の区域にいる! お前が確保してくるんだ!」

「私が?」

「いいから行け! コイツはお前に敵う相手ではない! 脱出ルートはCルートを使え!」

エルゼ曹長のバテスを居住区行きの通風口に叩きこみ、ブリアードと対峙する。

「なぜ、無駄なことをする。お前のケルバーダインでは、俺に勝つのは不可能だ」

ブリアードのパイロットが初めて口を開いた。重く、ゆっくりとした歴戦の戦士の声だ。

「投降しろ。無益な戦いはしない」

無益だと……!

なんと皮肉な。我々が投降し、この作戦が失敗すれば、第8軍はこのハンドレッドに総攻撃を仕掛け、強硬手段でケルバーZを奪取する段取りになっている

第8軍の軍団長……今の彼女なら嬉々として、このハンドレッドの住民を皆殺しにし、焼け野原にするだろう

降伏の意思などはじめから無いのは向こうもわかっているだろう

ブリアードのドリルが再び回転を始め、私のバテスは武器を構える

この戦い、負けるわけにはいかない……!

ブリアード機体解説

ブリアードはリザレクト軍で使用されているケルバーダインである

ケルバーダイン黎明期のAD2220年代より運用が開始され、モデルチェンジを繰り返しながら再生構築歴に入っても愛用されている

ブリアードには様々なバリエーションがあるが、この個体は再生構築歴0030年前後に制作された拠点防衛型である

ブリアードは伝統として、右に格闘武器、左に射撃武器が搭載されており、この個体には貫通力の高いCONドリルが装備されている

旧人類が建築用のコンクリートに打ち込むためのドリルを武装として転用したものであり、直撃すれば標準的なケルバーダインを一撃で破壊する威力を持つ

このブリアードには特殊なRIC「ヘアスプレーチッピング」が施されている

「ヘアスプレーチッピング」とはウェザリング技法の一つ

これは暗い塗料を下地に塗り、旧人類の整髪料をオーバーコートしたあと、水性塗料を塗って、水を付けた筆やツマヨウジで水性塗料を剥がし、リアルなサビや塗料のハゲを再現するというもの

極めてリアルな質感を得ることができ、ヘアスプレーチッピングを施したケルバーダインは鋼鉄さながらの防御力を得ることができる

だが、整髪料の発掘量が少なく、また複数の異なる特性の塗料を使うなど手間がかかるため、このRICを扱える再生構築士はそれほど多くはない

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