夏休みの工作に最適! きみにもできる!0から始める、初めてのケルバーダイン再生構築法。

こんにちは!プロモデラー林哲平です

今回はケルバーダインの基本的な制作法を、初めての人でも安心して制作できるように、0から優しく解説していきますね

制作するのはケルバーダイン、ヴァーダインです

目次

使用素材・工具

まずはヴァーダインの再生構築に必要な工具と素材を解説していきます

ケルバーダインは制作ルールとして、プラモデルのパーツは使わず、100均やホームセンターでに入る日用品を用いて制作します

ヴァーダインはダイソーで購入できる商品のみで再生構築しており、制作の材料に困ることはまずありません

制作に使う工具類。破壊用のニッパー、金属を曲げるペンチ、薄いプラや紙を切るハサミなど、だいたいのものは揃います

中でも最も大事なのがハンダゴテ。日用品の素材に多用されるポリプロピレンは強度が高く、関節軸用の穴を開ける加工がドリルだと難しいのですが、熱で溶かすと一瞬で開きます。500円と多少割高ですが、ケルバーダイン制作には欠かせない工具です

エポキシ系接着剤
2液を混合し、化学反応で硬化する接着剤。異なる素材でも接着可能で、異素材を多様するケルバーダイン再生構築において欠かせない接着剤です。ダイソーのものは100円で大容量でふんだんに使えるのが嬉しいところです

瞬間接着剤
ケルバーダインの再生構築に欠かせないのが瞬間接着剤です。強度はエポキシ系接着剤に劣りますが、異素材を接着可能で、手早く、スピーディーに作業できるのが大きな利点です

メタルフリープチクリップ
女性用の髪留めクリップ。ダイソーだと、女性のヘア用品コーナーに置かれています。ディテールが動物の肋骨のように見えるため、関節部に使えば生体風内部フレームになるなど非常に使いやすいパーツです

シガレットフィルター
タバコ用のフィルターで、パイプ状のパーツがなんと100円で25本も入っています。吸口部分がすぼまっており、これを活かしてスラスターやノズルとしたり、関節をつなげるフレームや、ゼノアイに使うなどさまざまな部分に使えます

使い捨てヒゲソリ
四本入りの使い捨てヒゲソリ。ディテールが極めて秀逸で、柄の部分は先端を手の甲にしたり、刃の部分は排気ダクトにしたりと一本で2種類のパーツが手に入るのがいいところ。もちろん、ヒゲを剃った後に使うで全然OKです

クリームケース
化粧品を小分けにするためのクリームケース。肩や腰の基部に使うことが多いです。フタは背中のエジェクター基部などに使えるので、本体とフタで別の用途に使えるパーツです

ハトメ
ハトメは革など素材に開けた穴を補強するために使う金具です。金属パーツなので強度もあり、エッジも非常にシャープなため、各部に組み込むとケルバーダインの精密製をUPさせてくれます

アルミワイヤー
手芸工作用の金属ワイヤー。ケルバーダインは本来接着に適さない異素材を無理やり組み合わせているため、ただ接着するだけだとどうしても壊れやすくなってしまいます。金属線を手足や関節など強度のかかる部分に通しておくことで、全体を補強する「骨」の役割を果たしてくれるのです。柔らかいアルミ製なので、手でも簡単に曲げることができます

プラフォーク
使い捨てのプラスチック製フォーク。刃先の部分を切り離し、ホッチキスの針と組み合わせることで簡単にSF風マニピュレーターな指を制作できるので重宝しています

洗濯バサミ
ケルバーダインに無くてはならない超重要パーツが洗濯バサミです。非常にメカニカルなディテールをしており、銘柄ごとに形状が違うので追求すると洗濯コーナーから動けなくなります。100円で大量に購入できるため、一回買うとまず無くなりません

ホッチキス(針入り)
どちらかというとホッチキスの針のほうがメインとして使います。これは等間隔に並んだ形状が精密感抜群なため、ディテールアップパーツとして使えるのです。本体も分解するといい感じ使えるパーツが多いので、セット売りを買うと一石二鳥です

カッターナイフ
二本入りのカッターナイフ。本体の加工にも使えますが、腕に装着すればケルバーダインの武装としても使えます。本物の刃物なのでシャープさは抜群ですが、もちろん手に刺さるので使ったときは作品の取り扱いをくれぐれも注意してくださいね

ヴァーダイン再生構築過程

胴体の基本形にはホッチキスを使います

ホッチキスは外装、内装と多数部品で構成されており、メカニカルなパーツの宝庫なのです

それではホッチキスを分解していきましょう

ここはペンチを使えばあっという間に作業が終わります

分解した状態。一つのホッチキスが、6つのパーツとなりました

分解したパーツを組み合わせながら、完成時の形状をあれこれ考えていきます

パーツの組み合わせが決まったら、接着していきます

大面積で重量がかかる部分の接着には強度の高い、エポキシ系接着剤を使用します

混ぜるときは接着剤の台紙を使うとエコでいいですよ

エポキシ系接着剤を塗っていきます

接着剤をつけるときはツマヨウジを使いましょう

クリームケースとハトメ、スナップボタンを接着した状態

ここはケルバーダインの胴体後部に装着されるエジェクターとなります

金属やプラなどの異素材でも、エポキシ系接着剤ならこのようにガッチリと接着できるんですね

胴体を構成していきましょう

シガレットフィルターを洗濯バサミで挟み、後ろに先ほど作ったエジェクターを、上にホッチキスの外装を重ねたものを接着します

胴体中央部の側面に、洗濯バサミを接着します

胴体側面の洗濯バサミにシガレットフィルターを差し込み、それを挟み込むように洗濯バサミを装着します

頭頂部にホッチキスの金具を装着し、洗濯バサミのリングをメタルフリープチクリップで挟んで接続し、腹部を作ります

胴体の再生構築完了です

続いて脚を作っていきましょう

脚部も洗濯バサミを基本に作っていきましょう

まずは分解して、2つ並べてみます

スリッパのようなイメージになりましたね

2つ並べた洗濯バサミをさらに洗濯バサミで挟みます

その洗濯バサミのリングをさらに洗濯バサミで挟むと、脚のように見えてきました

洗濯バサミは挟む、という行為で簡単につなげることができるので、スタイルを決める試行錯誤がしやすいんですね

先ほどの脚では上半身のスタイルと合わないと感じたので、横に倒して形状をチェックします

ケルバーダインは、あれこれ部品を見ていろんな組み合わせを考えるのが醍醐味の模型なんです

先ほどの形状から進めて、胴体の鋭角的なデザインに合うように脚部を再生構築してみました

シガレットフィルターを差し込み、メタルフリープチクリップで挟んで足首への接続部としています

左右の足首を作ったら、胴体と合わせてみましょう

脚と胴体のデザインはうまくマッチしています

続いて、脚を接続する腰ブロックを作っていきましょう

腰ブロックの基本はひげ剃りを使います

先端の刃をカットしたあと、2つ重ねて厚みをつけます

ひげ剃りの柄を重ねるために、ハンダゴテで穴を開けます

ケルバーダインに使われる、日用品は強度の高いプラスチック製のものが多く、ピンバイスやドリルで穴を開けるのは大変時間がかかります

ハンダゴテならば、溶かして開口できるので、一瞬で作業が終わりますよ

開口した状態。もう一本にも同じように穴を開けましょう

腰と胴体を3mmアルミ線でつなぎます

アルミ線は柔らかく、手で簡単に曲げることが出来ます

カットにはニッパーを使いましょう

それでは胴体と腰を接続していきましょう

まず、胴体側に接続した、メタルフリープチクリップの隙間にアルミ線を差し込んでいきます

次に、ひげ剃りの柄に開けた穴に腹部から伸びたアルミ線を通していきます

アルミ線を通してこのようなセッティングにしたら、側面にクリームケースの蓋を接着します

最後に腰から飛び出したアルミ線をカットします

これで腰を再生構築することができました

アルミ線を通すことで、重量のかかる腰の部分の強度をUPすることができるのです

それでは脚部をセットする準備を始めましょう

まずは脚の軸を通す穴をハンダゴテで開けます

ここは左右の穴を貫通しておきましょう

そのまま脚を接着すると軸がむき出しになってしまうので、穴の外側にハトメを接着して隠しパーツを作っておきます

足首側に、アルミ線を通す穴をハンダゴテで開けます

穴を開けた状態

中心に差し込んだシガレットフィルターの内部をハンダゴテで広げて穴を開けるイメージです

それでは脚を接続していきましょう。まずは穴に3mmアルミ線を差し込みます

差し込んだら、膝の部分でグイッ!と、アルミ線をペンチで曲げます

この段階で、脚の角度や長さをある程度決めておきます

アルミ線を貫通させた股間に通して

反対側の脚も同じように曲げて、アルミ線をカットします

これで両足から腰へとつながる部分を作ることができました

脚をセットして、エポキシ系接着剤でガッチリと固定します

脚部のセッティングは重要なポイントであり、ここで左右の脚がズレてしまうと完成時にちぐはぐな印象となってしまうので、塗料の瓶などで台座を作り、接着剤が乾燥するまで位置をしっかりと固定しておきましょう

脚は接着されましたが、ふとももがアルミ線そのままだと貧弱すぎますよね

ここはひげ剃りの刃のガードを接着し、モモの外装とします

脚部にもう少しボリュームが欲しく感じたので、ひげ剃りの柄をさらに外装として装着させていきます

ひげ剃りの柄はプラ製なので、ニッパーで簡単にカットすることができます

2つにカットしたひげ剃りの柄を、それぞれつま先の先端と、膝ガードとして装着します

洗濯バサミむき出しの状態から、より一歩踏み込んだデザインとなりました

続いて、フロントアーマーを作りましょう

プラフォークが良い感じに合いそうなのですが、内側の刃がひっかかり、装着には邪魔になってしまいます

ここは内側の刃をニッパーでカットして

接着すればこの通り、腰にすんなりとフィットするフロントアーマーになりました

続いて腕を作っていきましょう

まずはクリームケースの側面と底面にそれぞれ穴を開けていきます

3つの穴が空いた状態

これはアルミ線を通すための軸穴となります

本体の肩付け根部分にハンダゴテで穴を開け

アルミ線を差し込み、クリームケースの穴に通します

これで肩の基本ができました

続いて腕を作っていきましょう

まずはマニピュレーター型となる、左腕からです

用意する材料はひげ剃りの柄の端、ホッチキスの針、プラフォークの刃です

プラフォークの刃をカットし、曲げたホッチキスの針に瞬間接着剤で接着していきます

これで指ができました

指をひげ剃りの柄に接着、シガレットフィルターとアルミ線を接続し、接続部をホッチキスの針の蛇腹ディテールで隠せば、マニピュレーターの出来上がりです

メタルフリープチクリップをこのように装着し、上腕部分を作ります

上腕から伸びたアルミ線を肩のクリームケースの穴に通し、エポキシ系接着剤で固定します

左腕を接着した状態

腕が付くとかなりケルバーダインらしいスタイルになってきて、テンションが上がりますね

続いて武器腕である右腕を作っていきましょう

まずは武器を保持するための基部である、洗濯バサミの中心、この部分にアルミ線を通すための穴を開けます

右腕と同様に、メタルフリープチクリップで上腕を、シガレットフィルターで肘関節を作り、このような状態まで再生構築します

右腕にはカッターナイフを使います

カッターは本物の刃物なので、刃の薄さ、シャープさは類稀なるものです

もちろん、刃は手に刺さるので、くれぐれも制作時、完成時共に扱いに気をつけてください

使用は自己責任でお願いいたします

危ない、と感じる人はプラフォークなどで代用してください

洗濯バサミに、カッターをこのように接着します

ただ、このままだとあまりにもむき出しすぎるので

プラフォークの柄やひげ剃りの柄でデコレートし、他の部分とのデザインの統一感を醸成します

右腕を本体に接着していきましょう

左腕と同様にクリームケースに開けた穴にアルミ線を通してエポキシ系接着剤で固定しますが、武器のぶん重いので、接着剤が乾燥するまで位置がズレないように注意してください

腕が完全に固定されたら、ニッパーではみ出したアルミ線をカットします

手足の芯となるアルミ線は、ある程度長めにとっておくと微調整が効きますよ

クリームケースそのままだと淋しいので、腰や胸のデザインに合わせて、洗濯バサミとプラフォークを接着し、放射状に広がる、攻撃的なイメージの肩アーマーを作ります

あとは細かい部分を調整していきましょう

股間の裏側部分はアルミ線がむき出しになっているので、ホッチキスの針をこのように接着してカモフラージュしつつディテールアップしたら

ケルバーダイン、ヴァーダイン再生構築完了です!

洗濯バサミやひげ剃りなど、ダイソーの日用品があっという間にロボットになりました

一体のケルバーダインを組み上げるのに、私の場合だと1〜3日ぐらい

基本は小学生の夏休み自由工作と同じですので、制作そのものはプラモデルよりもずっと簡単です

それではケルバーダインの塗装、リアルイマジネイティブコーティングに移りましょう

今回は全てダイソーで入手できる塗料で塗ってみましょう

使用するのは、ラッカースプレーのマットブラック、水性ペイントのマットホワイト、ペイントマーカーのシルバーとゴールド、アクリル塗料のカーマイン、グリッターのりのレッドです

ケルバーダインはポリプロピレンなど、塗料がのりにくい、本来は塗装に適さない素材などを多用しています

これは自動車用のバンパープライマーを使うことで解決できるのですが、さすがにダイソーには売っていません

ここで使うのが、ラッカースプレーです

ダイソーのラッカースプレーはプラモデルに使われる、アクリル系のラッカー系塗料ではなく、金属塗装などにも使える塗膜が非常に強い、ニトロセルロース系のラッカー塗料となっています

塗膜が強力なため、日用品も問題なく塗装することができるのです

ただし、匂いがキツいので、くれぐれもしっかりと換気をして塗装してくださいね

真っ黒だと味気ないので、ウェザリングを加えましょう

水性ペイントのマットホワイトを水で薄めて塗り、全身にわずかにモヤっと薄汚れたようなテクスチャーをつけます

プラモデル塗装でいうところの「ウォッシング」ですね

続いて、メカニカルさを強調するためにシルバーでドライブラシを施していきましょう

まずはペイントマーカーのシルバーの穂先を紙コップなどに押し付けて、中の塗料を出します

ある程度平べったい筆を用意し、筆の先端にほんの少しシルバーを染み込ませて

ペーパータオルやティッシュなどに筆先をこすりつけ、筆に含まれる塗料の量をさらに減らします

筆先に残った塗料をエッジにこすりつけていきます

こうすると、エッジ部分にのみシルバーが乗り、まるで金属の地肌が露出したような表現となるのです

プラモデルの塗装でいうところの「ドライブラシ」ですね

多少表情はつきましたが、真っ黒ではやはり淋しいので、アクセントとして各部のディテールに赤を入れていきましょう

ポスタカラーのレッドを水で薄めずに取り出して

ツマヨウジで凹んだディテール部分に塗っていきます

はみ出しても、水で拭き取れば簡単に拭き取れるので、安心して作業してくださいね

さらに、各部のディテールを、ペイントマーカーのゴールドで塗り分けます

マーカーの穂先で塗るのは難しいので、ドライブラシのように塗料を一度出し、細い筆を使い塗り分けています

ちょっと見えづらいですが、ゼノアイはポスターカラーのレッドで塗ったあと、グリッターのりの粒子をまぶし、キラキラ感を強調しています

ヴァーダイン、リアルイマジネイティブコーティング完了です!

缶スプレーによる黒単色塗装なので、1日もあればあっという間に塗り上がります

というわけでケルバーダインの基本的な再生構築法でした

もちろん、この通りに作らないといけない、というわけではありません

あなただけのケルバーダインを、ぜひ!作ってみてくださいね

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この記事を書いた人

徳島県三好市三野町生まれ
2005年より模型専門誌月間ホビージャパン編集部に所属
プラモデルを作る専門家「プロモデラー」として、公私共に3000体を超えるプラモデルを制作
プラモデル技法書「ガンプラ凄技テクニック」シリーズ6冊を執筆
「誰もが、思い切り自由に作れる作れる模型」をテーマに、ケルバーダインの制作、普及活動に奮闘中

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