ガルダカ バトルストーリー (MC0033年)『死者の記憶』

荒涼とした荒地には無数の残骸が散らばっている
もし旧世界の巨人がこれを眺めたならば、きっとゴミ捨て場にしか見えないだろう
彼らにとっては、壊れた日用品に過ぎないのだから
だが、これは残骸でも、ゴミでもない
「記憶だ」
ゴロゴロゴロ、とガルダカの三つの車輪を静かに転がしながら、わたしは呟く

巨大な腕を慎重に伸ばし、神聖な遺物を扱うかのようにそっと残骸を拾い上げる
RICが剥がれ落ち、露わになった素材の表面は、生々しく、痛々しい
まるで皮膚が裂け骨が剥き出しになった死体のようだ
それを抱きしめ、わたしは荒野をゆっくりと進んだ

「見つかったのか?」
ガレキの隙間から、黒いケルバーダインが近づいてきた
エグゼクト軍のバテスだ。
「見つかったよ。確認してくれ」
「ああ…… 彼だ。間違いない」
力強い、戦闘用ケルバーダインから、おそろしく弱々しいが漏れ出る
「乱戦中にはぐれた。生きていて、欲しかった……」
「まだ、彼のカケラがあるかもしれない。探索を手伝ってほしい」
私の求めに答えたバテスはと、共に探索を始める
しばらくすると、散乱する破片群に辿り着いた
バテスが駆け寄り、破片を掴み上げる。ゼノアイの輝きが悲痛に揺れる
「ここにも、こんなに……」
「これは残された者たちに届くべきだ。彼らの生きた証だから」
私は静かに言った

うず高く積まれたカケラをケルバーたちが囲んでいる
いつの間にやってきただろう?
ゼオルーン族のケルバーダイン、リュードラが、死者への追悼の歌を歌っている
歌は大地を這い、風に乗って響き渡る
「帰れ、帰れ、魂よ。空へ還れ、光となれ」
美しくも悲しい旋律が破片を通じて心に染み込んでいく
バテスのパイロットが震える声で言う
「死んだ者たちは、光になって消えてしまったのか?何も残らないのか?」
この問いを、何十、何百、何千と聞いただろうか?
わたしは、これまでも何度も繰り返した答えを静かに返す
「死者の記憶は生者の中で生き続ける。君がその破片をエグゼクスすることで、彼の意志は君と共に戦う」
バテスのパイロットはしばらく沈黙した後、決意を込めて破片を胸に抱き寄せる

葬儀を背に、わたしは再びガルダカの車輪を動かし始める。
記憶を拾い集め、生者へと届けるために
それこそが、わたしたちバモリカに与えられた、神聖なる使命なのだ
ガルダカ 機体解説

ガルダカは破壊されたケルバーダインのパーツを回収することに特化したケルバーダインである

破壊されたケルバーダインのパーツには、死者の記憶が刻み込まれている
このパーツをケルバーダインに組み込み、インすることで、搭乗者は死者の記憶を引き継ぐことができる
これがいわゆる「エグゼクス」である

エグゼクト勢力圏では「エグゼクス」が続く限り、ケルバーは肉体は消滅しても、永遠に生き続けるという信仰が強い

そのため、破壊されたケルバーダインのパーツの回収は極めて重要な仕事と認知されている
この回収を請け負っているのがエグゼクト10氏族の1つ「バモリカ族」である

「バモリカ族」は骸骨やゾンビ、ゴーストといった死者の姿をしているのが特徴である
彼らはその姿を自らが担う、死者の亡骸を回収するにふさわしい神聖な形であると誇っている
この形態は、箱庭都市時代のハロウィンパーティー用仮装スキンがルーツだと考えられている

ガルダカの頭部
遠方のパーツでも発見可能であるように、索敵用ケルバーダイン「ゼレマール」の頭部を小型化、360°回転可能な独立形の頭部が装着されている


ガルダカの腕部
巨大なパーツでもガッチリとホールドし、落とさないように大型のクローが装着されている

ガルダカの脚部
ケルバーダインの破片は極めて脆くなっていることも多い
万が一、踏んで壊してしまわないように、突起の無い円形のローラーで移動するという独特の移動スタイルが取られている




ガルダカ四面図
ガルダカは独立した頭部、左右対称の両腕と形態が人体に近く、そのまま普通のケルバーダインのように二脚とするとミキシンクロレートが極めて上昇しやすくなってしまう
だが、パーツの探索は長期間にわたることがほとんどで、活動時間が短いと任務が果たせなくなってしまう
この問題を、脚部を三本とし、人体の形態から大きく外すことで、ミキシンクロレートの安定を測り解決している

バモリカ族は破壊されたケルバーダインのパーツの回収に加え、ケルバーの葬儀など死に関わる祭祀、業務全般を執り行うため、多くのケルバーにとって生活には欠かせない存在である
このため、ガルダカはバモリカ族と共に、エグゼクト勢力圏ではごく普通に見られる、一般的なケルバーダインとなっている


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