オリジナルヴァーダイン バトルストーリー(MC0022年『がっとすれいやあ えいゆうでんせつ 「くろきたたかい」』)
とおいとおい、あるところに、ちいさなむらがありました
あるとき、むらのちかくに、おそろしいがっとがすみつきました
このがっとはまっくろで、やまのようにおおきくて、こわくて、むらのけるばあたちをたべてしまうのです
むらのけるばあたちは、おおきなまちにたすけをもとめました
でも、いつまでまってもたすけはきませんでした
こまったむらは、みんなのおかねをぜんぶあつめて、がっとすれいやあをやといました
でも、そのがっとすれいやあはにせもので、おかねをもってにげてしまったのです。
こまったむらのけるばあたちは、ひとりずつがっとにいけにえをささげることで、なんとかいきのびていました
そんなあるひ、おやをうしなったむらのむすめが、つぎのいけにえになるというとき、ひとりのわかものがむらにたちよりました
わかものは、かなしくてわんわんないているけるばあたちをみて、がっとをやっつけるとやくそくしたのです
さいしょに、わかものはむらのけるばあたちに、しるばあばいんのきのみをあつめさせました
じつは、がっとはそのきのみのにおいがだいすきで、においをかぐとよっぱらってしまうのです
つぎに、わかものはむらのあちこちにすてられていたごみをつかって、くろいけるばあだいんをみきしんぐびるどしました
わかものはそのけるばあだいんに「ばあだいん」というなまえをつけました
むすめがいけにえになる、まんげつのよるになりました
わかものはむすめのまわりに、しるばあばいんのきのみをたかくつみあげ、ばあだいんをかくしました
つきあかりのなか、やまのようにくろいかげがあらわれました
がっとがきたのです
がっとはむすめのまわりのしるばあばいんのきのみをかいで、ふにゃあふにゃあとよっぱらいました
そのすきに、ばあだいんはがっとにおそいかかったのです
よっぱらっても、がっとはとってもとってもつよく、はげしいたたかいがはじまりました
まんげつのひかりのなか、くろいふたつのちからがぶつかりあいます
そして、ついにばあだいんのやいばが、がっとのきゅうしょをつらぬいたのです
むらはすくわれました
わかものはむらのむすめとけっこんし、むらのおさとなりました
ばあだいんが、がっとをたおしたうわさは、みきしんぐわあるどじゅうにひろがり、おおぜいのけるばあたちががわかものにあいたい、とむらにあつまってきました
わかものはあつまったけるばあたちにいいました
「ぼくたちはちいさいけれど、おおきながっとだってやっつけられる。みんなでちからをあわせて、ぜんぶのけるばあたちがしあわせになれるくにをつくろう!」
けるばあたちはわかものにききました
「わたしたちをみちびく、あなたのなまえをきかせてください」
わかものはこたえました
「おれのなまえは、ぜ…… いや、わたしのなまえはぜのば。ぜのばだ!」
「おお、ぜのば!ぜのば!ぜのば、ばんざい!」
ぜのばをたたえるこえが、いつまでも、いつまでもつづいたのでした
オリジナルヴァーダイン機体解説
ヴァーダインはエグゼクト大総統、ゼノヴァが考案したケルバーダインである
再生構築歴22年、エグゼクト辺境に位置する開拓村ドーファルインの近くに年老いたブラックガットが住み着く事件が発生した
ガットは通常、好んでケルバーを襲うわけではないが、このガットはケルバーを好んで食した
これは年老いて、ロデラなどの通常のエサを狩りで捕ることができなくなったためであった
ドーファルインはエグゼクトシティに救援を求めたが、当時エグゼクト地域は内部抗争が多発しており、にドーファルインに助けを送る余裕は無かった
ドーファルインは民間のガットスレイヤーを雇ったものの、当時多発していた偽物の詐欺師にひっかかってしまい、村の資産ほぼ全てを持ち逃げされてしまった
ドーファルインは村人を一人ずつガットが狩りをするエリアに置き去りにする、いけにえ作戦でかろうじて即座の全滅をしのいでいた。
ここで、ある無名の若いケルバーが村に立ち寄った
当時、村にはほぼ資材がなく、ハンドレッドから採掘された資源がわずかに残るだけであった
彼は限られた資源でケルバーダインを組み上げ、ヴァーダインと名付けたのである
彼はガットを打ち倒し、ゼノヴァと名乗った。
ミキシングワールド最強の生物である、ガットを打ち倒したものは英雄であり、その偉業を物語としてまとめた書籍「ガットスレイヤー英雄伝説」はシリーズとしてリザレクト、エグゼクト共に地域を問わず広く読まれている
初の単騎でガットを討ち取ったゼノヴァの偉業はミキシングワールド中に轟き、大変人気が高かったため、「ふたりのはは」「ながぐつをはいたがっと」のように子供向けの絵本としても出版され、増刷を重ねた
ゼノヴァの名声と共に、ヴァーダインの人気は高まり、ミキシングワールド中で作られたが、少ない資材で攻撃力に無理やり特化させた構造ゆえ、きわめて扱いにくいケルバーダインであった
ヴァーダイン右腕にはPGVナイフが装着されている
これは旧人類が使用していたナイフであり、刃が脱着可能であるのが最大の特徴である
切れ味が落ちるたびに折り、常に最も鋭い刃で攻撃可能であった
ゼノヴァに憧れ、自ら再生構築したヴァーダインで無謀にもガットに挑み、返り討ちに合う若いケルバーが多数犠牲となったため、ゼノヴァは自らの勢力圏内ではヴァーダインの制作と騎乗を熟練者に制限した
ゼノヴァは即席で制作したヴァーダインをその後も乗機として使い続けた
高い知名度と人気ゆえ、エグゼクトの求心力を保つために乗り換えることが出来なかったのである
ゼノヴァが騎乗するヴァーダインは、後に作られたヴァーダインとの違いを込めて「オリジナルヴァーダイン」と区別されるようになった
エグゼクト統一戦争、完全戦争と数多くの戦いで戦死した仲間たちのパーツを装着、エグゼクスを重ねるたびにヴァーダインの姿は変化を続ける
再生構築歴0040年の第三次リザレクティア総攻撃の時点ではオリジナルヴァーダインは巨大な竜の姿となっていた
旧人類の肉体を守らんとする、リザレクト二代目国王ローガスが騎乗するガルガンチュアケルバーダイン「クロノス」との激しい戦いは、古代の神話の再来であると語り継がれている
オリジナルヴァーダインの再生構築過程はこちら
コメント