ミキシングワールドに生きる住人、ケルバーの生活を支えるのが旧人類の残した日用品の数々だ。
中でも大量の資源を産出する「ハンドレッド型資源採掘遺跡」は再生構築歴以降のミキシングワールドにおいて非常に重要な拠点となっている。
再生構築機界の名所を紹介する「ミキシングワールド探索記」。
第一回は「ハンドレッド型資源採掘遺跡」について解説していこう。
ハンドレッド型資源採掘遺跡とは?
「ハンドレッド型資源採掘」……それは、旧人類の利用していた、大型雑貨店である。洗濯バサミや食器、工具、などの大量の日用品が保管されれており、保全度B+以上の遺跡からは旧人類の食料品すらも産出されることがある。
一定の低価格で生活必需品を販売していたと考えられており、採掘物資のほぼ全てに「100YEN」と価格が印刷されているため、「ハンドレッド」と呼ばれるようになった。
「100YEN」はMC40年時点でのリザレクト通貨であれば「100MODEL」。エグゼクト通貨であれば「1000KIT」に相当すると考えられており、これは愚かな旧人類が経済政策に何度も失敗し、想像以上に一般市民の貧困化が進んでいたことを裏付ける研究と一致している。
一つのハンドレッド型資源採掘遺跡を発見すれば、それはそのまま何万人ものケルバーが居住可能な巨大な開拓都市になり、そこから発掘される資源は莫大な利益を産むため、まだ見ぬ新たなハンドレッド型資源採掘遺跡を求めて未開地域を探索するケルバーは今なお多い。
ハンドレッド型資源採掘遺跡の発見
ハンドレッド型資源採掘遺跡を初めて発見したのは、2352年に誕生した、KG難民による武装集団であるエグゼクト革命軍であった。
彼らは箱庭都市グロッフ北西部の旧人類居住エリアを独自に探索し、ハンドレッド型資源採掘遺跡第一号である「ダー・イソ−001」を発見。
ダー・イソ−001は極めて保存状態が悪く、保全度D−と最低クラスながらも、そこから採掘された素材を用いて生産されたケルバーダイン、バテスやドルトガはまだナチュラルビルドに頼っていた、2350年代に製造された箱庭都市側のケルバーダインの性能を大きく凌駕した。
2366年にエグゼクト革命軍と箱庭都市連合との和解が成立し、革命軍改めエグゼクト開拓団がミキシングワールドの未踏地域を探索する中で、保全状態の良好な数多くのハンドレッド型資源採掘遺跡が発見された。
そこから採掘される大量の物資の流通が始まり、各地での開拓都市の建設スピードの増加や、開拓民たちの生活レベルの上昇、KG人口のさらなる増加など、ミキシングワールドに大きな変革をもたらした。
ハンドレッド型資源採掘遺跡の種類
ハンドレッド型資源採掘遺跡は概ね似通っているものの、「ダー・イソー」と「セー・リーア」に大別される。
「ダー・イソー」は最も一般的であり、多数を占める。
「セー・リーア」はダー・イソーよりも発見数が少ないものの、発掘品の形状や装飾に特徴があり、かつては旧人類の女性をメインターゲットにしてた店舗であったと想定されている。
「ギャンドゥー」や「ワズー」などのハンドレッドも発見されているが、上の2つに比べるとさらに数が少ない。
ハンドレッド型資源採掘遺跡によるケルバーダインの性能向上
ハンドレッド型資源採掘遺跡から採掘される大量の物資はケルバーダインに大きな影響を与えた。
2360年代以前のケルバーダインは旧人類の居住区に落ちているものを採集して組み立てる、ランダム製が強く再現性の低い「ナチュラルビルド」に製造をたよっていたが、ハンドレッドから手に入る潤沢な部品を使って合理的に設計、同一企画で大量生産が可能となったため、ケルバーダインの性能は急速に向上し、販売価格も下がった。
これにより、戦闘用以外の、運送や開拓など日常機械として、より一般ケルバーの間への普及が拡大していくことになった。
ハンドレッドを巡る戦い〜大開拓時代からエグゼクト統一戦争まで
保全状態に優れたハンドレッドは巨額の利益を産むため、その有用性が明らかになるにつれ、ハンドレッド型資源採掘遺跡を巡る争いや問題が多発した。
エグゼクト開拓団がミキシングワールド中の探索を開始し、主要な開拓都市が完成するまでのAD2366から再生構築歴0010年までの「大開拓時代」には複数の開拓団同士が発見したハンドレッドの優先権を巡って争ったり、未発見のハンドレッドの場所を記した偽物の地図を大量に売付けて巨万の富を得るケルバーが現れた。
あまりにもハンドレッド関連の詐欺が多かったため、エグゼクト地域の慣用句では詐欺師のことを「ハンドレッド野郎」と呼ぶ。
大開拓時代のハンドレッド利権問題はエグゼクト開拓団の間に大きな亀裂を作り、再生構築歴0015年から30年まで続いたエグゼクト統一戦争の原因の一つとなった。
ハンドレッドを巡る争い〜完全戦争時代
エグゼクトが大総統ゼノヴァ・エグゼクスにより統一され、リザレクトとの「完全戦争」が始まると、ハンドレッドを巡る争いはさらに激化した。
ハンドレッドを一つ押さえるだけで、戦闘用ケルバーダインを何千機も生産可能な大型軍需都市となるのだ。
新たなハンドレッドを発見するために危険区域への探索団の派遣、敵が保有するハンドレッドの奪取や破壊など。
完全戦争が始まってからは戦闘や過剰な採掘により壊滅するハンドレッドが増加している。
再生構築歴0030年にミキシングワールド全土で478箇所あったハンドレッドだが、0040年までの10年間で342箇所と20%以上減少。
戦火による生命の危険に加えて、ハンドレッドからの流通物資の不足による生活費の高騰がケルバーたちの生活を苦しめている。
ハンドレッド型資源採掘遺跡の未来
ハンドレッド型資源採掘遺跡から発掘される物資無くしては、現在ミキシングワールドに生存するケルバーたちの生活を支えることはできないであろう。
ケルバーダインや生活機械の発展により、物資をかろうじて新しく生産可能にはなったものの、ケルバーの生活は未だに旧人類の残存物に大きく依存している。
ミキシングワールドをより自活可能な再生した世界とするためにも、ハンドレッドからの脱却が必要ではあるが、それは「完全戦争」が終結した後の時代になるであろう。
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